[インタビュー]いながきりえ
[インタビュー実施日]2018年6月
[場所]ネット上にて
「ブサイクちゃん」という個性的で愛嬌バツグンのキャラクター商品が大人気のいながきりえさん。SNSにアップしている日常を描いたイラストも、ウィットに富んでクスッとさせられます。ブサイクちゃんシリーズを中心に、作品やぬいぐるみ協会との出会いなどについてお聞きしました。
(2018.6 インタビュー・構成・編集 北山メル)
いながきりえ さん(布雑貨製作アーティスト)
◆いながきさんは、布小物を製作販売していらっしゃいますが、特に「ブサイクちゃんシリーズ」が大人気ですね。「ブサイクちゃん」を作るきっかけはなんだったのですか?
中学生の頃の落書きです。
当時自分でキャラクターを作ってノートによく落書きをしていました。
そのキャラクターが「ブサイクちゃん」の原形です。
販売を始めたころは漠然とかわいいものを作っていて、なかなか売れないときは作風を変えたりと迷走を繰り返し、悶々とする日々でした。
ふと中学生のころの落書きを思い出し作ってみると「これはいい!」とピンとくるものがありました。
数点作って販売したところすぐに問い合わせがきたので、調子に乗って作り続けています
やっと私の作風が確立してきた感じです。
◆ ブサイクちゃんシリーズは、パターンもいろいろありますよね。エビフライや、寅さんみたいなおじさん風のものなど……。バリエーションの発想はどういったところからヒントを得るのですか?
SNSにアップすると、いろんな方がコメントしてくれます。
ふわふわのうさぎさんを作ると「エビフライみたいですね」、腹巻きをしたワンちゃんを作ると「寅さん風のも見たいです」なんて具合に、みなさんのコメントがヒントになっている作品がたくさんあります。
「スイカやキノコをモチーフに作ってほしい」というオーダーもあったりして、私よりコメントくださるみなさんのほうがアイデアが多彩かもしれないです。
私ひとりではあんなにユニークな作品は生み出せないです。
◆なるほど、オーディエンスがいちばんのアドバイザーといったところでしょうか。ありがたいですよね。
「中学の頃の落書きがブサイクちゃんシリーズのきっかけ」というお話でしたが、いながきさんは、よく自作の「日常イラスト」(いながきさん命名)をTwitterにアップしていますよね。
あれは私も大好きで、息子さんとのやりとりなど本当におもしろいです!
絵はいつ頃から描いていたのですか?
私の名前に「絵」という漢字を入れたのが父なのですが、父は絵を描くのがとても好きで、見事にそれが遺伝しました。
物心つく前から絵を描いていて、学校の休み時間は外で遊ばず、ノートに絵を描いて楽しむ子どもでした。
絵に関わる仕事に就きたかったのですが叶いませんでした。
でもいまTwitterというツールで多くの人に私の絵を見てもらえるようになったので「まぁいっか!」という感じです。
私の息子たちもイラストがアップされるのを毎日楽しみにしているんです。ネタにされているのに。(笑)
◆血は争えないですね。ステキな遺伝です。
ぬいぐるみ協会との出会いのきっかけはなんですか?
Twitterです。
ぬいぐるみ協会さんのアカウントをフォローさせて頂いたのは4年くらい前かな?
お人形好きなのはやっぱり女の子ですから。(笑)
第2回ぬいぐるミーティング(H26)に声をかけてくださってからは、何度かぬいぐるみ協会主催のイベントに参加するようになりました。
協会のアトリエをオープンさせる際、クラウドファンディングをしました。
そのときリターンのひとつにさせていただいたのが、いながきさんの「ブサイクちゃん」でした。
リターンのデザインは、ご支援くださった方しか手にできない限定品という、貴重なものでした。
お忙しい中お引き受けくださり、大変感謝しています。
「クラウドファンディングのリターン用に、ここだけの限定品を作ってほしい」とのご依頼でした。
最初に黄色とグレーの子を作って見ていただくと、「写真映えする赤で!」とアドバイスをいただいたので、赤い子にしました。
援助してくださった方に私の作品をプレゼントなんて、純粋にうれしかったです。
◆ぬいぐるみ協会は、ホストファミリーの協力の下、ぬいぐるみに旅をさせるという活動をしています。これについての感想をお聞かせください。
毎日のようにTwitterで旅をするようすが流れてきていたので、見かけるたびに「ぬいぐるみさん楽しそう!」と思っています(もはや“人”として見ているのかも)。
ぬいぐるみさんが楽しそうに見えるのは、ホストファミリーさんも楽しんでいるからなんでしょうね。
海外の写真が多いので、うらやましくて指をくわえて見ています。
捨てられてしまうぬいぐるみも多くある中で、こんなに大事にしてもらえるぬいぐるみさんは本当に幸せ者だと思います。
ぬいぐるみ協会さんの「ぬいぐるみに旅をさせてみませんか?」のフレーズが、なんだか我が子に旅をさせるようで何とも言えないドキドキ感がある気がします。
◆国内外いろんなところにぬいぐるみたちが旅をして、本当にうらやましいですよね。(笑)
もし、ブサイクちゃんが旅をするとしたら、どんなところに行ってほしいと思いますか?
いろんなタイプの作品を作っているので、作品のキャラクターに合った場所に連れて行って写真を撮りたいですね。
例えば、ひつじのマダムなら豪華客船「飛鳥」に乗って旅行、下町わんこなら浅草寺とかアメ横、日焼けうさちゃんならグアムかハワイ、白くまさんなら北極!
……といった具合に。
作品ごとに考えたら、楽しくてしょうがないです。
◆それはステキですね!ブサイクちゃんごとに、気取ったり、キャッキャしたりなど、情景が思い浮かびます。いろんなタイプの作品を作っているということですが、製作する上で心がけていることはありますか?
記憶に残る作品、一度見たら忘れられない作品を作ること」です!
一度見たら忘れられない作品というのは、アトリエでぶさいくさんを初めて見た方が、おなじようなことをおっしゃっていると思います。
すごいー。なにこれー。きゃははー。
お友だちと一緒だと「やだ。なにこれ」といったような感じで、みなさん驚かれて、チェックされていきますよ。
協会員さんの中に、今のブサイクちゃんの原形(?)のマスコットを何年もかわいがっている方がいらっしゃいます。
いながきりえ
布小物作家。宮崎県生まれ。岡崎市在住。
10センチの個性的マスコット「ブサイクちゃん」で、自身の独特な世界観を表現。
ブサイクちゃんの作品写真のほか、二人の息子とのやりとり「日常イラスト」をSNSにて公開。
ふとした日常を切り取った楽しい親子のやり取りのファンも多い。
[Twitter]@inagakirie
[Instagram]rie_inagaki
[minne]https://minne.com/@inagakirie
インタビューアー・北山メル
あみぐるみ、ぬいぐるみ作家。オーガニック素材などにこだわりを持ち製作。オリジナル作品ミランコビッチ君に旅をさせ「ぬいぐるみの旅」を楽しんでいる。
コミュニティカレッジ「下北沢大学」のポスター、フラッグ、DMのあみぐるみをデザイン・製作。
またライター業も手がけている。
NPO法人日本ぬいぐるみ協会アーティスト会員 日本あみぐるみ協会会員
http://kiyurakobo.net